『省エネ住宅』『高断熱』『ゼロエネ住宅』などなど…
住宅の新築やリフォームを考えるときに目にすることが多いキーワードかと思います。

佐藤工務店のHPや過去の大工日記でも省エネルギーを推奨してきましたが、
そもそも省エネの基準やどのような断熱が高断熱なのか理解している方はごくわずかだと思います。

各社ハウスメーカーのHPや折り込みチラシにはこぞって『北海道基準の断熱性』や『夏涼しく冬暖かい家』を謳っていますが、その根拠やどの程度基準をクリアしているのかまでを疑問に思い、質問された方もごくわずかだと思います。

今回は、わかるようでわかりにくい省エネ基準についてかみ砕いてみましょう。

[建物の断熱性能=UA値]

ここでは冬季を想定してご説明します。
断熱性の低い家は部屋であたためた熱はすぐに外へ逃げてしまいます。
断熱性の高い家は部屋であたためた熱が外へ逃げにくい。
ここまでは理屈として皆さんご存知のこと。

その熱の移動を数値化したものが断熱性能の基準として取り扱われています。

外皮にあたる床・壁・天井・開口部などの平均熱貫流率をUA値といい、
その数値が低いほど熱の損失が少なく、断熱性の高い建物だといえます。

断熱性能の基準値は地域ごとに区分されています。(下図参照)

岩手県は主に2地域、3地域、4地域に区分されており、
その内訳は弊社HPの『SUHA-ZEH』をご参照ください。

より寒冷の地域ほど1に近い区分になっています。

来年4月から説明義務化される省エネ基準の適否は、
【表1】で示す『断熱等性能等級4(建築物省エネ法)』の性能で言えば最低ラインの基準になります。

「断熱等性能等級4(建築物省エネ法)の基準をクリアしているから夏涼しく冬暖かい」と思ってはいけません。クリアしているのはあくまでも最低ラインの基準ですから。

冒頭で例に挙げた『北海道基準の断熱性』もあくまでも北海道での最低基準となります。
岩手県は北海道程寒冷ではないのですが、一般的なつくり(3.5寸柱の在来工法など)でいけば、北海道基準などあたり前にクリアして当然なのです。
(※開口部の仕様や比率によってはクリアできない場合もありますが…)

省エネ基準をクリアし、さらに断熱性能を強化することによって家の中で使うエネルギーの量も少なることも、皆さんご存知でしょう。

空調の負荷を減らせる他、暖房をしている部屋と非暖房の部屋との温度差が少なくなることで身体への負担が減り活動的な暮らしを送ることができます。

温度差が少ないということは、
ヒートショック・代謝低下・関節痛・血圧変動・循環器へのダメージなど
冬の厳しい寒さが及ぼす健康リスクを低減することができます。

信じがたい記事ですが、家の中での事故は実際に多く発生しています。

これから住宅を新築またはリフォームを検討されている方は、『省エネ基準以上』の仕様を追求することで、住宅で使用されるエネルギー量の削減と、快適な空間で活動的な日常を送れることにより、身体のランニングコスト低減(病院にかかる費用)など、どんな付加価値があるのか考えながら計画をしていくとより楽しく家づくりができるのではないでしょうか。