大工工事・仕上げ工事を経て、前沢Y様邸が仕上がりました。

昔ながらの風格ある和室の趣を大切に残した空間です。
上写真で解体前の母屋と今回工事した新築の和室を並べてみました。
書院と欄間は以前のものを使わせていただき、新しいけど懐かしく親しみのある和室空間に。



一見真壁構造の様に見えますが、真壁にすることで柱の厚み分の断熱層を欠損させなければいけません。大部分は大壁で和室など一部の限られた部位で真壁という納まりで対応することもありますが、断熱性能を考慮し、大壁構造に付け柱という化粧材で真壁風和室を再現しています。

書院の枠を見てみると、柱と枠材の木目の違いから付柱ということが窺えます。

床框・落とし掛けは槐(エンジュ)を使っています。
(蝋引きについて過去の記事で紹介しています『奥州市 前沢 Y様邸 ~造作~』

エンジュとは字の如く「木へんに鬼」と書き、魔よけとして用いられてきました。また「延寿」と書いたりもして、無病息災を祈り縁起物としても使用されてきました。

杉の網代(アジロ)天井に無双、照明を光源が見えないよう設置。

長押・鴨居・敷居・廻り縁 等々…無垢材は全て自然塗料で仕上げ、壁面は聚楽仕上げ。

大工・左官・塗装・建具・畳、多くの職人の技術で仕上がる和室はやはり上質な和の空間をつくりだします。